<論説>満州事変と日英関係

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タイトル別名
  • <Articles>The Manchurian Incident and Japanese-British relations.
  • 満州事変と日英関係
  • マンシュウ ジヘン ト ニチエイ カンケイ

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抄録

本稿では、満州事変に際しての日本、イギリス、国際連盟それぞれの対応を特にその対中国政策との関連において解明し、日本の連盟脱退の過程について再検討する。日本と連盟が満州国承認問題をめぐって対立を深めていったことはよく知られているが、日本とイギリスは共に、中国の混乱した政治情勢に照らし、むしろ連盟が中国問題に介入することの方に疑問を感じていた。これに対しリットン委員会は、満州国を公式に否認する一方、それを改編した形の自治政府を設立し中国国民政府に国際支援を与えるという解決案を提示した。最終的に日本と連盟は満州国承認問題をめぐって決裂し、日本の連盟脱退がもたらされたが、それは公的には日本の「国際的孤立化」という図式を定式化しながら、同時にイギリスにとっては、中国問題に対する連盟の関与を排除し、満州国の存在を実質的に容認するという意味合いの下で受け入れられた。それは、満州事変後の日英が満州国の存在を前提とした関係調整を模索する余地を、残すものでもあった。

収録刊行物

  • 史林

    史林 82 (3), 390-423, 1999-05-01

    史学研究会 (京都大学文学部内)

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