<論説>アトリー労働党政権の対外経済政策と植民地

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タイトル別名
  • <Articles>The Attlee Labour Government's Foreign Economic Policy and the Colonial Empire
  • アトリー労働党政権の対外経済政策と植民地
  • アトリー ロウドウトウ セイケン ノ タイガイ ケイザイ セイサク ト ショクミンチ

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抄録

一九四七年、経済危機に直面したイギリスでは植民地資源への期待が高まった。さらには、外相ベヴィンの西欧同盟構想を代表に、植民地大規模開発とその資源動員を、大国としての存立の危機に直面したイギリスの世界戦略の基盤に据える構想が登場した。しかしアトリー政権の植民地経済・開発政策の実態は、開発に必要な物資を供給するのではなく、貿易と金融への統制により、植民地が既存の輸出で獲得したドルを吸い上げることに終始する消極的なものとなった。ただし、植民地経済がスターリングエリアのドル収支に対する貢献の度合いを唯一の尺度として位置づけられてゆく過程を、植民地開発を担うイギリスの能力の限界として捉えるのでは十分でない。重要なのは、戦後再建と福祉国家建設を進めたい労働党首脳と、イギリスの経済的地位の復活を目指す大蔵省とが、ドル収支改善それ自体がイギリスの生き残りの鍵であるとの認識のもと進めた対外経済政策が背景にあったことを踏まえて、アトリー政権の植民地経済・開発政策を理解することなのである。

収録刊行物

  • 史林

    史林 82 (4), 624-658, 1999-07-01

    史学研究会 (京都大学文学部内)

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