<論説>拝領屋敷の利用にみる武士の屋敷観と武家地管理政策の展開 : 城下町米沢を中心として

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  • 渡辺 理絵
    大阪大学大学院文学研究科博士後期課程・人文地理学専攻(歴史地理学)

書誌事項

タイトル別名
  • <Articles>The Management of Warriors' Residential Lots during the Edo Period : A Case Study of Yonezawa Castle Town
  • 拝領屋敷の利用にみる武士の屋敷観と武家地管理政策の展開--城下町米沢を中心として
  • ハイリョウ ヤシキ ノ リヨウ ニ ミル ブシ ノ ヤシキカン ト ブケチ カンリ セイサク ノ テンカイ ジョウカマチ ヨネザワ オ チュウシン ト シテ

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抄録

本稿は米沢藩を事例として、武士の屋敷利用の実態を検討した上で、藩の武家地管理政策について考察した。十八世紀初頭、屋敷の需給方法や家屋敷の嫡子相続などが規定された結果、屋敷と拝領者との関係が固定化され、屋敷の資産化を進めることにつながった。家屋が頻繁に売却されたとともに、借金の抵当や縁約金の代替となった例もある。一方で借家経営や疏菜耕作といった居住外利用も展開し、武家地は本来のあり方から逸脱した方向へ進む。これに対して藩は随時、規制と緩和を繰り返すが、藩政改革が開始される十九世紀に入ると武家地を収入源として活用する政策転換を図った。本事例でみられた屋敷利用や藩の管理政策は、外様諸藩および江戸においても類似点が少なくない。これに対し、譜代藩の研究事例と比較すると、屋敷の利用実態や藩の管理政策に差異がみられる。すなわち、移封経験の有無が武士の屋敷観や屋敷利用に差異をもたらしていると予想される。

収録刊行物

  • 史林

    史林 87 (2), 145-180, 2004-03-01

    史学研究会 (京都大学文学部内)

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