<論説>法然没後の専修念仏教団と「嘉禄の法難」事件

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タイトル別名
  • <Articles>Exclusivist Nenbutsu Congregations after the Death of Honen and the Karoku no Honan Incident.
  • 法然没後の専修念仏教団と「嘉禄の法難」事件
  • ホウネン ボツゴ ノ センジュネンブツ キョウダン ト 「 カロク ノ ホウナン 」 ジケン

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抄録

法然没後の専修念仏教団にとって最大の法難事件とされる「嘉禄の法難」事件において、張本として処罰された専修念仏者はそれぞれ青蓮院門跡と関係があり、逆に京都近郊に居ながら処罰を免れた法然有力門弟は、法然からの円頓戒相承が窺えるという共通項があった。まず後者について、これは山門衆徒を主導し得る存在であった証真との戒脈上の繋がりを示しており、この事件で主導的役割を担ったのは証真門下であったことから、処罰から除外されたのはこういった法系の主張によるものと考えられる。逆に前者については、法然墓所が青蓮院門跡の管轄する地にあり、ここで専修念仏者が再生産されていたことを衆徒が問題視していた故に、青蓮院門跡関係の専修念仏者が選択的に処罰されたものと思われる。このように、この事件は山門内のセクショナリズムに依る部分が大きく、また事件の一連の経過を見ても、国家による思想弾圧であると理解することは難しい。

収録刊行物

  • 史林

    史林 95 (4), 635-670, 2012-07-31

    史学研究会 (京都大学大学院文学研究科内)

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