<論説>広鍬の編年 : 近畿地方における初期農耕社会の木器生産

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タイトル別名
  • <Articles>Typological Sequence of the Hoe: Production of Wooden Artifacts in the Kinki Region in Early Agrarian Society
  • 広鍬の編年 : 近畿地方における初期農耕社会の木器生産
  • コウクワ ノ ヘンネン : キンキ チホウ ニ オケル ショキ ノウコウ シャカイ ノ モッキ セイサン

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抄録

木製農具は初期農耕社会の経済基盤を支えた道具であり、農耕の拡散や発展を論じるうえで不可欠な要素として重視されてきた。さらに農具には製作途中の未成品も多く伴うため、生産体制論においても存在感を示している。ところがその年代観は共伴土器に依存しており、資料相互の関係性が曖昧であるために応用的な議論が阻害されてきた。そこで本論では木器独自の時間的指標を得るために、主要な農具である広鍬について型式学的な検討をおこない、広鍬編年を構築した。完成品の形態変化を指標とする従来の変遷観に、未成品から読み取れる製作技術の変化を対照させることで、双方の変化を検証するとともに、未成品に立脚した木器生産論への道筋を提示した。広鍬の製作は四期に区分することができ、とくに弥生時代中期中葉に規格化を意図した製作技術の転機を見いだした。本論は木器製作遺構を機軸とする従来の木器生産論に新たな視点を与えるものである。

収録刊行物

  • 史林

    史林 101 (3), 465-503, 2018-05-31

    史学研究会 (京都大学大学院文学研究科内)

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