<論説>清代の「里程配流」 --五軍道里表の改訂をめぐって--

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  • キム ハンバク
    京都大学文学研究科博士後期課程生・日本学術振興会特別研究員

書誌事項

タイトル別名
  • <Articles>Distance-based Exile in the Qing Dynasty: The Revision of the Chart for the Five Military Exiles 五軍道里表
  • 清代の「里程配流」 : 五軍道里表の改訂をめぐって
  • シンダイ ノ 「 リテイ ハイル 」 : ゴグンドウ リヒョウ ノ カイテイ オ メグッテ

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抄録

流刑・充軍・発遣を主とする清代の配流刑は、死刑より一等下位の重刑として機能していた。そのうち流刑と充軍に処された配流犯の配所を定めるツールである道里表は、配流距離に応じて罪人を流す清代特有の「里程配流」の構想を具現するものとして注目に値する。本稿では、充軍の配所を指定する五軍道里表の構造を分析し、道里表が同一犯罪に対する同一処罰を課すだけではなく、内地全域を配所にして配流する罪人を分散する機能も有していることを明らかにした。そして、道里表が実際に適用された様相を巴県檔案により確認したあと、今まで看過されてきた道里表の改訂について各版本別に分析を試みた。それを通じて、乾隆三十二年と四十四年の改訂に大幅な修正が見られることを確認した。前者では配流距離をより綿密に反映することが、後者では多数の配所候補地を確保することがそれぞれ主眼となっていたのである。このような道里表の改訂は、里程配流という法精神と地方の事情という現実問題の調整の過程を示している。

収録刊行物

  • 史林

    史林 102 (5), 689-722, 2019-09-30

    史学研究会 (京都大学大学院文学研究科内)

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