<論説>古代天皇の私的兵力について

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  • <Articles>On the Private Military Force of Tenno in the Ancient Japan
  • 古代天皇の私的兵力について
  • コダイ テンノウ ノ シテキ ヘイリョク ニ ツイテ

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抄録

日本古代における天皇親衛軍の研究は、井上光貞氏が口火を切つて以来、急速に発達した。しかし、従来の研究では、天皇を中心とする大和朝廷の軍隊と、天皇に直属する私的軍隊との区別が明確にされていなかったように思われる。大化前代では、靱負軍と舎人軍とが天皇親衛軍の主要なものとされているが、私は、靱負軍は六世紀代に、天皇の私兵的な性格がうすくなり、朝廷の軍隊という公的性格をもちはじめ、このころから、より私的な天皇の軍隊として舎人軍が用いられるようになつたと考える。この両者は、律令制成立とともに五衛府の制に吸収され、公的な軍隊に化してしまうが、八世紀初頭に、早くも律令にみえない天皇の私的な兵力として授刀含人が設けられる。この制は以後曲折を経るが、授刀衛あるいは近衛府にまで発展する。古代天皇の性格を考えるには、このような天皇の私的軍隊の果した政治史上の役割を認識することが必要であると思う。

収録刊行物

  • 史林

    史林 45 (3), 321-352, 1962-05-01

    史学研究会 (京都大学文学部内)

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