<論説>産業革命期における北部フランスの繊維工業

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タイトル別名
  • <Articles>The Textile Industry in Northern France in the Period of the Industrial Revolution
  • 産業革命期における北部フランスの繊維工業
  • サンギョウ カクメイキ ニ オケル ホクブ フランス ノ センイ コウギョウ

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説明

フランス革命が最も徹底的な市民的変革であつたにも拘らず、その後のフランス資本主義の発展が必ずしも順調でなかつたのはいかなる理由によるのであろうか。これは既に多くの先学によつて論じられながら、なお十分に解明されていない間題である。本稿はこの問題をフランス産業革命史の側から検討する。考察の範囲を北部フランス、リール地方の繊維工業に限定したのち、まずこの部門の工場制への移行の画期と形態を分析し、繊維産業資本の確立過程の諸特質-即ち、産業資本の発展のテンポの緩慢さ、発展の規模の狭小さ、商人資本の主導的役割-を具体的に明らかにする。次いで、これらの諸特質がどのような客観的諸条件によつて規定されていたかを、繊維工業の資本蓄積の様式、生産手段の供給、労働力の存在形態、市場構造の四つの側面から考察するが、それはフランス産業資本の独自な発展構造に対して若干の光を投じるものとなるはずである。

収録刊行物

  • 史林

    史林 45 (4), 555-589, 1962-07-01

    史学研究会 (京都大学文学部内)

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