<論説>幕末・維新期における小藩の構造とその動向 : 討幕派第ニグループの動向をめぐって

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タイトル別名
  • <Articles>Behaviour of the Small Clans and their Movement in the Late Shogunate and Early Restoration Periods : the movement of the second group in the anti-Sougunate faction
  • 幕末・維新期における小藩の構造とその動向--討幕派第二グループの動向をめぐって
  • バクマツ イシンキ ニ オケル ショウハン ノ コウゾウ ト ソノ ドウコウ トウバクハ ダイニ グループ ノ ドウコウ オ メグッテ

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抄録

幕末・維新史に要請される今後の課題の―つは、西南雄藩討幕派史観を継承批判するとともに、幕府をはじめ、佐幕諸藩、および同じ討幕派のなかでも「第ニグループ」の諸藩、そしてまた日和見諸藩等々の、個別分析による研究視野の拡大と問題の深化を通じて、それらを包括する幕末・維新史の綜合的研究を推進することにあろう。本稿はそうした課題に迫るために、当面「討幕派第ニグループ」に属する西南小藩の大村藩を選び、藩の基本体制との関連において、討猫派形成の政治路線とともに、政治目標・理念、および倒幕の具体的政治過程における実践行動等々の問題を、「討幕派第一グループ」の行動との関連において追究しようとするものである。大村藩における政治主体の形成過程は、「討幕派第一グループ」のそれと異なり、藩政改革派と直接関連を有しない尊攘派が、元治元年逆に改革派に施回し、藩権力を掌握して、一挙に藩論の統一へともち込む。そこに示された「尊王」の二字、天皇の絶対優位性の確認と天皇への大義、それを実現するための活発な藩外実践行動、藩同盟の結成と他藩党争の調停、さらに「討幕派第一グループ」連合への画策、それを通じて藩論を実現し、討幕派へ成長する小藩「討幕派第ニグループ」の限界、これが本稿の課題であり、また結論でもある。

収録刊行物

  • 史林

    史林 46 (5), 711-741, 1963-09-01

    史学研究会 (京都大学文学部内)

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