ミサイル防衛についての一考察 : 防空識別圏の経験から

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タイトル別名
  • A Study of Meaning of the Air Defense Identification Zone in Case of a Missile Defense
  • ミサイル ボウエイ ニ ツイテ ノ イチ コウサツ : ボウクウ シキベツケン ノ ケイケン カラ

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抄録

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[要旨] 防空識別圏(ADIZ)は、領空に接近する航空機のうち、未確認飛行物体とされるものについて、シカゴ条約を遵守しながら軍用機によって要撃を実施するために設定されている地理的な範囲である。これに関してシカゴ条約に規定され、遵守を求められる事項は要撃の方法であり、戦闘機等の軍用機と民間の航空機を想定したコミュニケ―ション、すなわち要撃のための警告信号の世界共通化である。他のひとつは、民間航空機に対する武力行使の禁止(第3条の2)である。要撃の方法はシカゴ条約締結当時(1944年)からの規定であり、第3条の2は1983年9月1日に発生したカムチャッカ半島付近での大韓航空機撃墜事件を受けたシカゴ条約の改正によって追加されたものである。本稿は、このADIZの考え方をミサイル防衛に適用したときに、どのような対処が容認されるのか、を検証する。最近、北朝鮮民主主義人民共和国が頻繁に打ち上げている戦闘用のミサイルは、航空機を凌駕する高速で飛行するものであり、それが特定の国家に向けられたときはADIZの考え方をより実効的かつ迅速に適用する必要があることは論を待たない。それでも、戦争の発生を抑制すべきとする国際社会は、そうした適用を無制限に容認しない制度を模索してきた。それ故に、国際法における現行のADIZの考え方と実行を整理し、ADIZの考え方のミサイル防衛への適用について、今後、追究すべき事項を明確にすることが必要になる。

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