日本における一般消費税に関する研究

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タイトル別名
  • A Study on General Consumption Tax in Japan
  • ニホン ニ オケル イッパン ショウヒゼイ ニ カンスル ケンキュウ

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説明

本研究の目的は,日本の一般消費税の“真像”を明らかにすることである。具体的な内容は,次の二つである。第一に,我が国の一般消費税の課税根拠を理論的に検討する。一般消費税は,事業者の生み出す付加価値(売上総利益)に担税力を見出して課税するものであり,間接税に分類される付加価値税の一種であると言われている。競争力や力関係において劣位に置かれている多くの事業者にとって消費税(相当額)を商品等の価格に転嫁することが難しい。そのため,一般消費税は間接税ではなく,負担者と納税者が同じという企業課税としての直接税と化しているという問題を指摘する。一般消費税は,最終的に国民の所得に帰着するものであり,その所得に一律課税を行うということは,日本国憲法の要請している「担税力に応じた応能課税」ではなく,逆進性の強い究極の不公平税制ではないだろうか。|第二に,「転嫁」問題に焦点を当て,裁判例を基に検討することで,消費税の課税システム上の重大な欠陥を法律の視点から明らかにする。消費税は間接税であるがゆえに転嫁されることが予定され,それが前提になっている。しかし,消費税法において,事業者に対する転嫁の義務も権利も規定されていない。筆者は「転嫁しているのか否かは曖昧(不透明)な状況になっている」と考えている。その原因は「消費税の転嫁強制システムが存在していない」からである。本研究では,消費税の転嫁問題について,司法(裁判所)においてどのように判断されてきたのか,三つの判例を基に考察する。最後に,経済産業省の月次モニタリング調査を基に,消費税の転嫁拒否の問題を明らかにする。

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