日本の相続法における特別受益制度と相続税法に関する研究

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タイトル別名
  • Research on Special Beneficiary System in Japanese Inheritance Law and Inheritance Tax Law
  • ニホン ノ ソウゾクホウ ニ オケル トクベツ ジュエキ セイド ト ソウゾクゼイホウ ニ カンスル ケンキュウ

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抄録

本研究は,我が国の相続法における「特別受益制度」の諸問題と関連する相続税法の問題を明らかにすることを目的としている。具体的には,次の五点について考察した。第一に「具体的相続分」という概念がどのようなものかを検討した。具体的相続分とは,共同相続人間の実質的公平を図るため,「特別の受益」や「特別の寄与」が考慮された計算基準としての相続分の概念であり,実体法上の権利ではないことを確認した。第二に,遺産分割の調整制度として「特別受益」・「寄与分」・「遺留分」の三者の関係がトリレンマ(=三竦み)の状態になっているという形を簡潔に図で示した。筆者は,遺留分制度を重視して,トリレンマにはなっていないと考えている。第三に,特別受益の発生事由として「生計の資本として受けた贈与」をどのように判断するのかを具体的な例を基に考察した。その結果,その家庭の状況によって変わる「通常の扶養の範囲内であるか?」が判断基準になっており,一定の基準が設定できないという問題を指摘した。第四に,民法上の特別受益と相続税・贈与税の関係についても論及し,遺贈には相続税が課税され,生前贈与には相続税よりも高税率の贈与税が課税されている理由を示した。第五に,特別受益と遺留分の関係を検討し,遺留分が特別受益よりも優先されていることを明らかにした。

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