地域社会の「核」としてのへき地教育 - 奈良県十津川村にあった第七中学校および葛川小学校の事例から -

書誌事項

タイトル別名
  • Rural Education for Rural community: A case study in Kuzugawa Area of Totsukawa Village, Nara Prefecture
  • チイキ シャカイ ノ 「 カク 」 ト シテ ノ ヘキチ キョウイク : ナラケン トツカワムラ ニ アッタ ダイナナ チュウガッコウ オヨビ カツガワ ショウガッコウ ノ ジレイ カラ

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抄録

本稿は、奈良県吉野郡十津川村における「へき地教育」について、1950年代から1970年代の葛川地区の中学校の事例を中心に記録・考察し、現代的評価を加えることを目的とする。葛川地区には戦前から初等・中等教育機関が置かれていたが、その多くの期間で「小中併設」という形態がとられていた。同一校舎内に小学校と中学校の二つの教育機関が置かれることにより、生徒数の少なさからくる諸問題をある程度克服するとともに年代の違う子どもたち同士の交流が生まれ、ひいては地域社会を持続させる核としての役割を果たしていた。学校がこうした地域の中心としての役割を持っていたことは、学校の統合計画を進める過程を記した資料の記述からも明らかとなった。また、統合後は通学困難となった生徒のために中学校に寮が設置された。子どもたちは寮での生活を通して自立心を養った。こうした過去のへき地教育からは、現在は見られなくなったり蔑ろにされたりする教育のあり方と役割を再発見することができる。

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