日本文化理解のための教材構成の理論と試案 : 社会的文脈をともなう対話場面を中心に

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タイトル別名
  • Theories and Proposals Regarding the Preparation and Creation of Teaching Materials Aimed at Promoting Japanese Cultural Understanding : With an Emphasis on the Comprehension of Dialogue in Social Context
  • ニホン ブンカ リカイ ノ タメ ノ キョウザイ コウセイ ノ リロン ト シ

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抄録

われわれはこれまで、とくに海外の日本語学習者にむけた、日本文化を理解するための教材開発を指向して、「日本語の習得と文化理解」について研究してきた。本研究はその一貫として、理論モデルから教材構成の試論を展開するものである。まず、文化特殊語彙の知識をもとに、日本文化における社会的文脈の理解を導き、さらに個人の価値観との葛藤の調整を含む社会的次元の判断を指向した。こうした語義的理解、文脈的理解、社会的理解のレベルへと順次導くことを、文化理解の階層性モデルと称した。そして異文化理解における葛藤をマトリクスモデルに集約し、文化理解はそこでの意思的選択を可能にするものと位 置づけた。 次に留学生用に開発された、文化的な文脈性を持った15場面からなる文化場面 理解尺度を日本人学生に適用して、基準サンプルとした。その回答を留学生サンプルと比較し、両群における回答の頻度、属性による影響、内在要因の把握から、場面 を教材化する手がかりを得た。尺度項目から3場面を選び、そのダイアログと反応パタンを素材にして、討論を基本とした文化理解教材の試案を構成した。学習者は、自分の意見をサンプル集団の反応と比較して、位 置づけを知ることができ、指導者は場面に含まれるポイントを説明しながら、順次理解レベルを上げて文化理解を導く。 最後に文化理解を試みる接近領域を整理し、日本語教育の関わりと位置づけを論じた。

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