短期滞日語学/企業研修が接触場面における学習者のインターアクション能力に及ぼした影響について

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タイトル別名
  • The Impact of a Study : Work Programme in Japan on Interactive Competence in Contact Situations
  • impact of a study work programme in Jap

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抄録

本研究は、15名の香港人大学生が9週間の滞日語学/企業研修を通 して習得した、接触場面におけるインターアクション能力について調査した報告である。被験者の研修参加以前の日本語学習時間は460時間で、全員が「日本語能力試験」三級に合格している。本研究の主な資料は、(1)日本語筆記テスト、(2)ロールプレイテスト(「断り」の場面 )、(3)作文の課題で、それぞれ研修の前と後に行なった。また、企業研修受け入れ先担当者およびホストファミリーを対象としたアンケートと、帰国後の被験者インタビュー資料も分析に役立てた。 調査の結果、滞日期間が比較的短かったにもかかわらず、日本での経験が被験者の日本語インターアクション能力に及ぼした影響はかなり大きいことがわかった。言語能力では、聴解能力、発音、イントネーションが著しく向上した。しかし、口頭産出面 での流暢さに反して、語彙、文法・読解テストではそれに匹敵する成績は得られなかった。全員がかなり長い作文を書く自信を得たが、産出量 の増大は正確さという質的な向上とは結びつかなかった。社会言語能力では、断りの表現の種類の細分化、非言語行動、相づちなどの語用能力に進歩がみられた。コミュニケーション上の問題を解決するために、さまざまな方策を積極的に使用できるようになったことがわかった。また、接触場面 の参加者の母語(中国語と日本語)に共通する要素として漢字の知識を役立て、会話における語彙不足を「筆談」によって解決する訂正能力の習得がとくに注目された。社会文化能力で習得されたものはかなり多岐にわたっており、その主なものは、全般 的な日本についての知識、生活習慣、職場や家庭の人間関係、ビジネスの習慣などであった。

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