中国古代儒家文献に見る反戦思想(3) ──『孟子』『荀子』──

書誌事項

タイトル別名
  • Antiwar Thoughts in the Confucian classics(3):Meng Zi(『孟子』, Xun Zi(『荀子』)
  • 中国古代儒家文献に見る反戦思想(3)『孟子』『荀子』
  • チュウゴク コダイ ジュカ ブンケン ニ ミル ハンセン シソウ(3)『 モウシ 』 『 ジュンシ 』

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説明

前稿に続き、本稿では『孟子』『荀子』に見える反戦的言辞を検討した。孟子は、「性善説」に基づく民本思想を高く掲げ、民衆保護を最優先する仁政を強く主張した。それは前漢中期の賢良・文学の「絶対平和主義」に近い思想であった。しかし、孟子は上古の聖王による戦争には全く無批判であり、また、儒学を解さない人間や異民族の討伐は当然とした。これは、「絶対平和主義」とは相容れない思想であった。したがって、孟子の思想を「絶対平和主義」の直接的淵源とみなすことはできない。一方、「性悪説」を唱え、民衆を聖人の教導の対象としか見なかった荀子は、表面は民本思想を掲げながら実は当時秦を圧倒的軍事強国たらしめていた法家思想と大差ない思想の持ち主だった。また、春秋の五覇や秦の軍国主義政治にも相当な理解を示していた。このような荀子の思想は、孟子よりもさらに「絶対平和主義」から遠いものであった。

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