<論説>信仰と職業 --両大戦間期フランスにおける女性教師「ダビデ」の世界-- (特集 : ジェンダー)

書誌事項

タイトル別名
  • <Articles>Faith and Profession: The World of the Davidées, Women Teachers during the Interwar Period in France (Special Issue : Gender)
  • 信仰と職業 : 両大戦間期フランスにおける女性教師「ダビデ」の世界
  • シンコウ ト ショクギョウ : リョウ タイセン カンキ フランス ニ オケル ジョセイ キョウシ 「 ダビデ 」 ノ セカイ

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抄録

敬虔なカトリックの女性信者は、ライシテに価値を見いだすフランス共和国で何を考え、どのように生きたのだろうか。それが国民統合の使命を担った公立学校の教師だったとするとさらに問題は複雑であろう。本稿では、アルプスの山岳地帯を拠点とし、主に両大戦間期に活動した女性カトリック・グループ「ダビデ」を取り上げる。彼女たちのネットワークは雑誌や図書館制度、巡礼を通して全国に広がり、一九二〇年代末には公立小学校に勤務する女性教員の一割ほどを惹きつけた。共和国の小学校教師としての使命を果たしつつ信者として生き抜くことは、ダビデにとって両立可能であり相互補完的でさえあった。共和国とカトリシズムはともに、彼女たちに人との親密なつながりをもたらし、自己を主張し防衛する手段をも与えた。本稿では、第三共和政期フランスの小学校教師の日常世界を明らかにし、宗教の社会的意義をジェンダーの視点から考察する。

収録刊行物

  • 史林

    史林 104 (1), 155-187, 2021-01-31

    史学研究会 (京都大学大学院文学研究科内)

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