優先権の代位と倒産手続 : 日米の比較による一考察

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タイトル別名
  • Subrogation of Priority under Insolvency Procedures: A Study on the Difference between Japan and the U.S.
  • ユウセンケン ノ ダイイ ト トウサン テツズキ : ニチベイ ノ ヒカク ニヨル イチコウサツ

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抄録

民法では、代位弁済がなされると、代位者は求償権の範囲内で、原債権の保持者が有していた一切の権利を行使することができる(民法501条)。そして、倒産法においても実体法が尊重されるとするならば、原債権が優先権を有する債権であった場合、代位弁済した者は、その優先権も承継するのが原則であろう。ところが、近時の裁判例は、委託保証人となっていた金融機関が関税等の債務を破産会社に代わって弁済した場合、当該金融機関は租税債権の優先権を主張できないと判示している。その一方で、未払賃金立替払制度によって労働債権を代位弁済した労働者健康福祉機構は、原債権である労働債権を取得し、かつ、その優先権も主張することができる。果たして、この相違はいかに解するべきなのだろうか。日本では、これまであまり議論されることのなかった代位弁済による優先権の承継の可否について、アメリカ連邦倒産法に示唆を求めて考察する。特に、共同債務者の地位について規定する連邦倒産法第509条と共同債務者による優先権の代位を禁ずる同法第507条(d)項を概観するとともに、アメリカにおいては古くから争われてきた優先権の代位に関する判例等を紹介しながら検討していく。

収録刊行物

  • 同志社法學

    同志社法學 59 (1), 173-247, 2007-05-31

    同志社法學會

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