尺骨神経麻痺を発症したライフル射撃選手の1例

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タイトル別名
  • Case report of ulnar nerve palsy in a sport rifle shooter
  • シャッコツ シンケイ マヒ オ ハッショウ シタ ライフル シャゲキ センシュ ノ イチレイ
  • シャッコツ シンケイ マヒ オ ハッショウ シタ ライフル シャゲキ センシュ ノ 1レイ

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抄録

トップレベルのライフル射撃選手に発生した左尺骨神経麻痺を経験した。症例は、21歳,女性、右利き(右手で引き金を引く)である。特に誘引なく左手のしびれを自覚するようになり、指導者に症状を報告しながらも練習は休まずに継続していたが、2カ月あまり改善しなかったため受診した。左手尺骨神経領域のしびれの自覚と知覚鈍麻を認め、左手は軽度の鷲手変形を呈し、指伸展時に小指を環指につけることができなかった。神経伝導速度検査では、左上腕前腕間で運動および知覚伝導速度が低下していた。左肘関節の肘部管部にはTinel like signを認めず、発症と尺骨神経伝導速度低下の原因が明確でないため、実際に射撃練習場におけるパフォーマンスを確認し、膝射において上腕背側と膝蓋部の間で尺骨神経が長時間圧迫され続ける練習を繰り返していたことが原因であると推定した。推定された発症原因を指導者および選手に直接伝え、フォームの修正を図らせた結果、早期に自覚症状の改善が得られ、約4週間でほぼ症状のない状況にまで回復した。一般臨床医があまり接触する機会の少ない競技のスポーツ傷害は、競技による傷害発生の特性や傷害発生機転を一般臨床現場で想定することが困難なことが多く、必要に応じて実際のパフォーマンスを確認することが有用であると考える。

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