認知症高齢者の人権 : 最期までその人らしさを支えるために

書誌事項

タイトル別名
  • ニンチショウ コウレイシャ ノ ジンケン サイゴ マデ ソノ ヒト ラシサ オ ササエル タメ ニ

この論文をさがす

抄録

1. はじめに : 高齢者のための国連の原則では、自律、参加、ケア、自己実現、尊厳が掲げられ、「いかなる場所に住み、あるいはいかなる状態であろうとも、自己の尊厳、信念、要求、プライバシー及び、自己の介護と生活の質を決定する権利に対する尊重を含む基本的人権や自由を享受することができるようにするべきである」と国のあり方を示している。さらに、「尊厳及び保障を持って、肉体的・精神的虐待から解放された生活を送ることができるべきである。年齢、性別、人種、民族的背景、障害等に関わらず公平に扱われ、自己の経済的貢献に関わらず尊重されるべきである」としている。果たして日本ではそれらの目標がどの程度実現できているのであろうか。わが国は世界の最たる長寿社会であり、実に女性人口の4人に1人は65歳以上、男性では5人に1人を占めている。多くの高齢者は、喪失体験の中にあって不安や恐怖に向かい合っており、生きてきた意味を感じ、誰かに必要な人と思い続けたいと思っている存在である。その思いの実現に拍車をかけているのが認知症であり、その背景には「認知症になると不可解な言動が出てきて、私がわたしでなくなる」と理解するなど、疾病に対する誤解が少なからず関与している。そこで、ここでは認知症高齢者の人権について考え、最期のそのときまでその人らしさを支えためのいくつかの考えを提示したい。……

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ