反緊縮のマクロ経済政策諸理論とその総合

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タイトル別名
  • Theories of Anti-Austerity Economic Policy and their Synthesis
  • ハンキンシュク ノ マクロ ケイザイ セイサク ショリロン ト ソノ ソウゴウ

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説明

I 欧米反緊縮左派を支える経済政策理論 : 1-1 欧米反緊縮左翼のコンセンサス : イギリスのコービン労働党やアメリカのサンダース派, フランスのメランション派や黄色のベスト運動, スペインのポデモス, バルファキス元ギリシャ財務相の始めたDiEM25など, 近年, 欧米では反緊縮左翼が台頭しているが, そのコンセンサスとなっているのは, 次のような見解である。彼らは「財政危機論」を新自由主義のプロパガンダとみなしている。財政危機を口実にして財政緊縮を押し付けることで, 公的社会サービスを削減して人々を労働に駆り立てるとともに, 民間に新たなビジネスチャンスを作り, 公有財産を切り売りして大資本をもうけさせようとしているとみなす。したがって, 財政緊縮反対は政策の柱である。逆に, 財政危機論にとらわれず, 財政を拡大することを提唱する。その中身として, 医療保障, 教育の無償化, 社会保障の充実などの社会サービスの拡充を掲げるのはもちろんである。しかし「反緊縮」というのは, それにとどまらず, 財政の拡大で景気を刺激することで, 雇用を拡大するところまで含んでいることに注意しなければならない。その財源としては一様に, 大企業や富裕層の負担になる増税を提唱している。……

収録刊行物

  • 経済学雑誌

    経済学雑誌 119 (2), 9-40, 2019-04

    大阪市立大学経済学会

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