インド農村部における送金および移住機能の比較分析 : 高成長期(1993年と2007-08年)の全インドおよびビハールにおける経済・社会的後進階層を対象として

書誌事項

タイトル別名
  • Comparative Analysis on the Function of Remittances and Migration for the Social and Economically Backward Classes in Rural India and Rural Bihar for the two decades : the early 1990s to the late 2000s
  • インド ノウソンブ ニ オケル ソウキン オヨビ イジュウ キノウ ノ ヒカク ブンセキ : コウセイチョウキ(1993ネン ト 2007-08ネン)ノ ゼン インド オヨビ ビハール ニ オケル ケイザイ ・ シャカイテキ コウシン カイソウ オ タイショウ ト シテ

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説明

農村家計における移住と州外移住者による送金の経済的効果について、社会階層ごとによる変化を捕捉するべく、インドの経済改革の直後の時期にあたる1993年度と、高成長期にあたる2007-08年度の大規模家計標本調査、National Sample Survey(NSS)の個表データを用いた異時点間分析を、インド全体と最貧州であるビハール州を対象として行った。1993年度においては、あらゆる社会階層において、国内の出稼ぎ農村家計は、移住者のいない家計よりも経済水準が低く、貧困に近い状態にあった。しかし07-08年においては、出稼ぎ家計の経済水準が非出稼ぎ家計を上回るという逆転現象すら生じており、その傾向は、被差別家計であるSC(Scheduled Castes)において特に顕著である。ビハールでは、1993年には、州外移住者を輩出したSC農業労働者家計の経済水準は、最貧層に位置していたが、2008年には、そのような家計の移住率が増加した上に、経済水準が飛躍的に改善し、移住を行わない家計との経済水準の差異がほぼ消滅した。つまり、90年代前半には、出稼ぎSC家計は貧困状態にあったが、2000年代の経済成長期においては、国内の出稼ぎによる送金は社会的・経済的後進階層の所得制約条件を緩和したと言え、将来的に、国内移住と送金が、後進階層にとってのエンパワーメントの手段となりうる可能性を示唆している。

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