<論文>NPO法改正と政治主導

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  • <Article>NPO Law Reform and Political Leadership

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抄録

2009年に発足した民主党政権は、マニフェストに「政治主導」を掲げて誕生した。そこでいう「政治主導」には、政策形成を官僚から政治家の手にとりもどすという大きなコンセプトのもとに、「首相によるリーダーシップ発揮」という意味での「首相(もしくは官邸)主導」、内閣の政務三役による政策形成という「内閣主導」、官僚ではなく理念を共にする政治家が実質的に議論するという「政治家主導」という3つのタイプがあった。この政治主導によって成し遂げられたのが、民主党政権が実現した重要政策の一つである特定非営利活動法人法(NPO 法)の改正と新寄付税制関連法による NPO 寄付税制の大幅拡充である。本稿では、寄付税制の大幅拡充の実現過程を検証することで、政治主導に基づく政策形成でこそ寄付税制の大幅拡充が可能であったことを示す。そのために、まずこの40年ほど日本政治のテーマの一つであった政治主導の系譜を追った上で、民主党政権がめざした政治主導の概念を整理する。さらに法改正と関連法が政策として浮上し、具体的な政策として形作られ、国会を通過するまでの過程を、新しい公共円卓会議や市民公益税制プロジェクト・チーム、超党派の議員連盟といった政策推進装置に注目しながら、それらがどう政治主導で行われて実現に至ったのかを明らかする。それから鳩山由紀夫や松井孝治など、寄付税制拡充に向けて鍵となった与野党の人物たちの理念や政治行動について分析する。それによって、この NPO 税制の大幅拡充が、政策形成の各過程においてその舞台を官邸や内閣、国会へと変えながら、また政策形成の主な担い手もそれによって首相から内閣を構成する副大臣・政務官、さらには国会議員へと移り、それぞれの局面で異なる政治主導によって行われたことを示す。

収録刊行物

  • 国際日本研究

    国際日本研究 13 53-67, 2021-03

    筑波大学人文社会科学研究科国際日本研究専攻

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