日本の都市密集域

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タイトル別名
  • Urban Agglomerations in Japan ─ Proposal of Delineating Contiguous Densely Inhabited Districts for Japanese Data Applied to <i>World Urbanization Prospects</i> ─
  • Urban Agglomerations in Japan : Proposal of Delineating Contiguous Densely Inhabited Districts for Japanese Data Applied to World Urbanization Prospects
  • ── 世界都市化予測のためのDID連坦域画定の提案 ──

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抄録

<p>国際連合人口部は,世界と各国の「将来人口予測」と「人口都市化の将来予測」(「都市化予測」と略称。)を交互にほぼ2年ごとに実施している。都市化予測では,各国の全国人口に占めるurban人口の割合と住民30万人以上の“urban agglomeration”(その空間単位を「都市密集域」と訳す。)の人口数を推計(将来については予測)し,1950年以降2030年(2018年都市化予測では2035年)の期間の5年目ごとの数値を発表している。この都市密集域を行政境界とは関係なく都市的な密度水準で居住地が連坦する輪郭内の地域と定義し,これに即した人口統計を各国共通に得るのが困難なので,それを補充するため,metropolitan area (「都市圏」と訳す。)と city proper(「行政市固有域」と訳す。)の統計概念を設け,これらも合わせて都市密集域として人口推計(予測)のデータとして用いている。筆者は,都市化予測におけるデータの適用に際して,これらの統計概念が地理学における空間概念や空間単位を考慮することなく混用されていること,特に日本のデータの適用に際しての不適切な点を指摘し,日本における都市密集域としてより適切な空間単位として,市町村境界に関わりなく隣接し連続する複数の人口集中地区(DID)の輪郭内の地域に相当する「DID連坦域」(Contiguous DIDsと英訳。)を画定し,用いることを提案する。すなわち,2014年と2018年の都市化予測では,日本のデータとして,総務省統計局設定の「大都市圏」と「大都市圏外の住民30万人以上の行政市」を都市密集域として用いているが,地理学では,大都市圏は,機能 (または結節)地域の概念に基づく空間単位であり,都市化予測における都市密集域の統計概念の定義から導かれる均質(または同質)地域の概念とは異なっていること,また,大都市圏外の住民30万人以上の行政市は,形式地域の概念に分類される空間単位で,しかも,これらを都市密集域または行政市固有域のいずれかに分類しているのは,3種類の異なる概念に基づく空間単位を混用して数量比較をしていることになり,地理学の視点から適切とはいえない。2018年都市化予測では,都市密集域のデータ適用に際して,大都市圏の空間概念の誤用が認められるほか,大都市圏外の住民30万人以上の行政市については,1995年以降その全域を都市密集域の空間単位に変更したため,それ以前には,その行政市域内のDIDを空間単位に用いて推計したと推測される人口値と比べて過大な推計値を示していることを明らかにした。これらの分析結果に基づき,試案として住民30万人以上のDID連坦域を画定すると,その数は2015年には全国で東京を始め26を数える。2018年都市化予測で適用されたデータに基づく26の各都市密集域の大半は,対応するDID連坦域に比べて人口が過大に推計され,日本においてはDID連坦域によるデータのほうが,都市化予測において本来定義された都市密集域の人口をより適切に推計し予測できることが示された。</p>

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