咽頭喉頭腔の形態に対する呼吸時相の影響について : 320列面検出器型CTを用いた検討

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  • Effect of Respiration Phases on the Morphology of the Laryngopharyngeal Cavity : an Investigation Using 320-Row Area Detector ComputedTomography

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目的:咽頭喉頭腔(LC)は,発声,嚥下,呼吸などの活動状況によってその形態が変化する.本研究では,320 列面検出器型CT(320-ADCT)を用いて,様々な呼吸時相がLC の形態に変化を及ぼすか否かを明らかにすることを目的とした. / 材料と方法:5 名の健常成人女性を被験者とし,呼吸サイクルの4 時相(深吸気,深呼気,安静吸気,安静呼気)を,320-ADCT 付属の呼吸同期システムを用いて,各1 回ずつ1 時相にて撮像した.3D-CT画像を作成した後,LC の体積,長さ,断面積,および前後・左右径を計測した.また,LC周辺の解剖学的指標について座標の変化を計測し,統計解析を行った. / 結果:安静呼吸時において計測値の変動は特に認めなかったが,深吸気時においてLC の体積は増加し,喉頭蓋谷レベルの断面像における内腔面積の増加と前後径の伸長が認められた.座標分析では,深吸気時における舌骨と舌根部の前方への移動が認められた. / 結論:320-ADCT を用いてLC の形態に対する呼吸の影響を検討した結果,深吸気時においてLCの拡大が認められ,おそらくは気道関連筋群の作用による舌骨と舌の前方への移動が咽頭壁の動的な変化をもたらし,この現象が生じたことが示唆された.また,安静呼吸時にLC の形態が比較的安定していたことから,咽頭喉頭腔に関する標準的な計測値を得る呼吸時相として適切と考えられる.

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