自己炎症性疾患関連血管炎

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  • Vasculitis in the autoinflammatory diseases

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自己炎症性疾患は, 自然免疫系の異常により繰り返す全身性の炎症を特徴とし, 一部の疾患で血管炎を合併する. 単一遺伝子変異による自己炎症性疾患の中で, 特に家族性地中海熱ではさまざまな血管炎を発症し, IgA関連血管炎や結節性多発動脈炎の頻度が高いとされる. 最近定義されたA20ハプロ不全症, Aicardi-Goutières症候群, 乳児発症STING関連血管炎, COPA症候群, アデノシンデアミナーゼ2欠損症において, 血管炎は重要な臨床症状の1つである. A20ハプロ不全症は, ベーチェット病の血管炎に類似した症状を示す. I型インタフェロノパチーの1つであるAicardi-Goutières症候群のうち, SAMDH1遺伝子異常の患者では, 血管炎の発症頻度が高いことが推測されている. 乳児発症STING関連血管炎では, 血管炎による重篤な皮膚病変を引き起す. COPA症候群では肺毛細血管炎によるびまん性肺胞出血を発症する. アデノシンデアミナーゼ2欠損症は結節性多発動脈炎様の血管炎による脳血管障害や皮膚症状を発症する. 多くの臨床的特徴は自己炎症性疾患間で重複し, 血管炎の正確なメカニズムは明らかではないが, IL-1β, I型インターフェロン, 免疫複合体による血管内皮細胞の直接的障害などが想定されている. 自己炎症性疾患では, このような血管炎症状を合併することに注意し, 適切な診断と治療を行う必要がある.

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