家族の経済学に基づく世代間関係と民間介護保険需要に関する研究

書誌事項

タイトル別名
  • The economic analysis on intergenerational relations and private long-term-care insurance
  • カゾク ノ ケイザイガク ニ モトズク セダイ カン カンケイ ト ミンカン カイゴ ホケン ジュヨウ ニ カンスル ケンキュウ

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抄録

わが国における世代間関係が民間介護保険需要に与える影響を検証する。具体的には平成21, 24, 27 年度の「生命保険に関する全国実態調査」(公益財団法人・生命保険文化センター)のデータを利用し、成人した子どもとの同居が、親世代による民間介護保険への加入に与える影響をクロス集計分析によって検証した。分析の結果として得られたことは主に以下のとおりである。第一に、サンプルの約80%を占める金融資産3,000万円以下の世帯において、成人した子どもと同居している親世代は、民間介護保険に加入する確率が統計的に有意に上がる。第二に、金融資産3,000万円を超える世帯においては、子どもと同居している親世代、とりわけ妻の民間介護保険の加入率はやや減少する傾向がみられる。これら二つの結果から、多くの世帯において、親は子どもに対して利他的動機に基づいた保険需要選択をしているのに対し、保有資産が多い世帯ではクラウディングアウト効果や戦略的遺産動機に準ずるメカニズムにもとづいた選択を行っていることが示唆された。また、保険購入量の代理変数として介護が必要になった際の月額給付金の受取額への効果や、世代間関係以外に加入率に影響しうる他の要因と保険需要の関係についても検証している。

収録刊行物

  • 生命保険論集

    生命保険論集 2021 (214), 233-266, 2021-03-20

    公益財団法人 生命保険文化センター

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