巨大子宮筋腫による子宮捻転を発症した高齢女性の1例

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タイトル別名
  • Uterine torsion in an elderly woman with a large leiomyoma : a case report
  • キョダイ シキュウ キンシュ ニ ヨル シキュウ ネンテン オ ハッショウ シタ コウレイ ジョセイ ノ 1レイ

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抄録

<p>子宮捻転はこれまで約200例程度の症例報告があるが,そのほとんどは妊娠中の子宮に伴うものである.今回,高齢者の腫大した子宮筋腫が原因となった子宮捻転を経験したので報告する.妄想性障害があり,慢性腎臓病,貧血の指摘を受けていたが,医療拒否であった72歳の女性が,数日間持続する強い腹痛のため,救急車で搬送された.搬送時の診察で,圧痛を伴う成人頭大の可動性良好な下腹部腫瘤を認め,血液検査では,重症腎不全(クレアチニン8.63 mg/dl,K8.5 mmol/l)と重症の大球性貧血(Hb 4.3 g/dl,MCV 100.8 fl)を認めた.単純CT検査を実施したところ,下腹部腫瘤は子宮体部の直径20 cmの子宮筋腫と思われた.筋腫を含む子宮体部の阻血が疑われたことから,子宮捻転の可能性を考えた.輸血とカリウム補正を行ったうえで開腹手術を行った.直径20 cm程度に腫大した子宮体部が,両側の付属器とともに内子宮口の高さで540度反時計回転して暗赤色を呈していた.腟上部子宮切断術と両側付属器切除術を行った.術後は一時的に血液透析を行ったが,良好に経過した.まれとはいえ,閉経後の大きな子宮筋腫を保存的に管理している場合には,急性腹症を起こした場合の鑑別診断として子宮捻転を頭におく必要がある.〔産婦の進歩74(1):64-69,2022(令和4年2月)〕</p>

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