復氷の研究過程と展望

書誌事項

タイトル別名
  • History and prospects of research on regelation
  • フクヒョウ ノ ケンキュウ カテイ ト テンボウ

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説明

<p>復氷の実験と理論を主に実験法とその結果および理論仮定に着目して概説した.初期のBottomleyの実験,Ornsteinの理論から最新のDrake and Shreve,外塚ら,対馬らの研究まで,復氷は圧力融解と融け水の後方への流れ,および再凍結で説明された.しかし,ワイヤー上下の氷が荷重を半分ずつ支え合うとする仮定に問題があり,最大圧力と0℃からの圧力融解見積りも問題だった.温度差解析によると貫入速度vの理論値が実験値に近いナイロンやクロメルのワイヤーは水膜厚さtの関与が小さかった.vの理論値が実測値より著しく大きい銅線など高熱伝導率ワイヤーではtと水膜の粘性係数 η が関与した.温度差バランスの解析によるとtが薄すぎた.その原因として η の値が小さすぎる点を指摘した.</p><p>ワイヤーが氷中に埋まって大気圧が加わらない場合,融点降下は氷温0℃からではなく三重点0.01℃からに変更される.従来の遷移領域は不純物由来ではなく,圧力融解発生の有無で説明できた.今後の展望として真空中でのv測定の必要性,ワイヤー下面氷・水境界の最低温度およびワイヤー上面水・氷境界の最高温度の各測定の必要性,ワイヤー下面氷中温度分布式の理論的導出などの重要性を指摘した.</p>

収録刊行物

  • 雪氷

    雪氷 84 (1), 39-64, 2022-01-15

    公益社団法人 日本雪氷学会

参考文献 (24)*注記

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