吸収不良症候群で発症し、リファキシミンで改善した小腸内細菌異常増殖症 (SIBO) の1例

  • 原 朋子
    埼玉県立小児医療センター 消化器・肝臓科
  • 佐藤 智
    埼玉県立小児医療センター 感染症免疫・アレルギー科
  • 治山 芽生
    埼玉県立小児医療センター 消化器・肝臓科
  • 江花 涼
    埼玉県立小児医療センター 消化器・肝臓科
  • 吉田 正司
    埼玉県立小児医療センター 消化器・肝臓科
  • 南部 隆亮
    埼玉県立小児医療センター 消化器・肝臓科
  • 岩間 達
    埼玉県立小児医療センター 消化器・肝臓科

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説明

<p>【症例】10代女性【主訴】下痢、腹痛、体重減少、電解質異常【既往歴】1歳時に多関節型若年性関節リウマチ発症、自己免疫性血小板減少症【薬剤歴】プレドニゾロン・タクロリムス他、複数の免疫抑制剤の長期使用歴あり【経過】5年前に蛋白漏出性胃腸症が疑われ、ステロイド注腸で一時的に改善したが、3年前から腹痛や1日2-3回程度の下痢が再燃した。1年前から10kgの体重減少、半年前から低K・低Ca・低Mg血症が出現し、内視鏡検査では原因不明で、PPIを中止したが症状も改善しなかった。原因精査のため入院後、D-キシロース試験で吸収不良症候群と判明した。原因として膵外分泌異常、炎症性腸疾患、Celiac病、悪性腫瘍等は否定され、経過からSIBOが疑われた。内視鏡での無菌的十二指腸液採取で、Streptococcus mitis oralis group(口腔内常在菌) 10^3 CFU/mL、75gグルコース負荷(絶食30日後)・10gラクツロース負荷 (絶食5日後) 呼気水素・メタン検査では、診断基準 (90分以内のベースラインからの水素≧ 20ppm、メタン≧ 10ppmの上昇) を満たさないが、SIBOの可能性を考慮しリファキシミンで10日間治療を行ったところ、腹部症状や体重減少が改善した。また、D-キシロース尿中排泄量も改善した(0.83 → 2.8g、基準値4.5g以上)。症状改善後、10gラクツロース負荷試験を再検 (絶食1日後) したところ、診断基準を満たしたため、最終的にSIBOと診断した。電解質異常は一部残存しているが、常食摂取が可能となり入院111目に退院した。【結語】長期免疫抑制剤使用者における下痢や腹痛、吸収不良症候群の原因として、SIBOを考える必要がある。無菌的十二指腸液培養の解釈や呼気試験のタイミングは難しく、採取法や絶食期間に影響を受ける可能性があると考えられた。</p>

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