対策型乳がん検診におけるマンモグラフィ非検出乳癌の実態と関連要因の検討

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タイトル別名
  • Current status of breast cancer undetected by mammography in population-based breast cancer screening and associated factors
  • タイサクガタ ニュウガン ケンシン ニ オケル マンモグラフィ ヒケンシュツ ニュウガン ノ ジッタイ ト カンレン ヨウイン ノ ケントウ

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説明

<p>目的 マンモグラフィ(MMG)単独検診の推進に向けて,問診内容を含めた住民検診データを用いて,視触診で見つかるMMG非検出乳癌の実態を明らかにし,乳癌との関連要因を検討することで,視触診省略によるMMG非検出乳癌への対応策について示唆を得ることを目的とした。</p><p>方法 西宮市においてデータ化が可能であった2014, 2016, 2017年度の乳がん個別検診のデータベースから,個人情報をすべて削除し,連結可能匿名化したデータファイルを用いた。MMG非検出乳癌は,視触診判定のみで要精密検査(MMG判定はカテゴリー2以下で異常なし)となった者のうち,精密検査で「乳癌」と診断された者により把握した。乳がん検診の精度管理指標(プロセス指標)は,受診者全体に加え,視触診判定のみで要精密検査となった者についても算出した。乳癌と各項目との関連は,χ2検定またはFisherの正確確率検定等により分析した。</p><p>結果 受診者13,504人のうち,要精密検査者は1,247人(9.2%)であった。精密検査の結果,乳癌と診断された者は44人(3.5%)であり,このうち,MMG非検出乳癌は4人であった。また,プロセス指標はいずれも許容値を満たしていた。MMG非検出乳癌症例を検討したところ,4例中3例は乳房で気になることとして「しこり」と答えていた。乳癌と各項目との関連を分析した結果,乳癌と有意な関連が認められた項目は,「乳房で気になることの有無」であり,「しこり」と「分泌物」に有意な差異が認められた。</p><p>結論 MMG非検出乳癌の4例中3例はしこりを自覚しており,しこりと分泌物の自覚症状は乳癌と有意に関連していた。視触診省略によるMMG非検出乳癌への対応策として,これらの自覚症状に着目した受診勧奨の啓発,問診の徹底と観察,医師への伝達など多職種による連携,ならびにブレスト・アウェアネスの普及が重要であることが示された。</p>

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