南極昭和基地に設置されたX-bandドップラーレーダーの降雪現象の検出特性

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タイトル別名
  • Snowfall detection by a newly deployed X-band Doppler radar at Syowa Station, Antarctica

抄録

南極氷床の質量は降雪によって涵養され,沿岸での氷山流出や融解によって消耗する.温暖化の進行に伴って南極氷床全体の質量は減少し,その水は海水準の増加に向かい始めた.今後の南極氷床の質量の変化を知るために,降雪量を精度よく把握することがますます重要になっている.しかしながら,南極域の降雪量の観測や知見が未だ不十分である.昭和基地では,第62次南極観測隊の中で,2021年2月にX-bandドップラーレーダーを導入し,昭和基地の現在の降水量の把握や降水形成過程の解明を目指している.これまでの約半年間で昭和基地の降雪に適した観測の仕方を試行錯誤し,5月半ばにそれを確定した.本論文では,昭和基地の降雪イベントについて,当レーダーの観測限界について考察した。以下は現時点での結論である.①これまで昭和基地で観測ができなかった総観規模擾乱に影響された強風期間の降雪量の観測が可能である.②上記の強風現象期間中の降雪強度は常に強いわけではなく,無降雪に近い期間がある.③シーロメータで検出されている微弱な降雪には,当レーダーで検出できない現象がある.これらの結果から,当レーダーとシーロメータやディスドロメータは相補的であり,これらの測器を組み合わせることで,昭和基地におけるほぼ全ての降雪イベントに対応できると考えている.

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390573242484548352
  • DOI
    10.57287/ospor.6.36
  • ISSN
    24362034
  • 本文言語コード
    en
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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