日本語の反応態度的な「何も」について

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タイトル別名
  • The Japanese Reactive Attitudinal <i>Nani-mo</i>: A New Class of Negative Polarity Items
  • The Japanese Reactive Attitudinal Nani-mo : A New Class of Negative Polarity Items
  • ―否定極性項目の新たなクラス―

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抄録

<p>日本語の否定極性表現(NPI)の「何も」には,「量化用法」と話者の否定的態度を表す「反応態度」用法があるが,後者は前者と異なり,非命題レベルで使われ,モダリティと共起するという点で通常のNPIには見られない特性を有している。本稿では,反応態度的な「何も」は,発話状況で際立った(活性化された)命題pは極端で必然的ではないという話者の感情を慣習的推意(CI)として表出しており,その極性およびモダリティとの共起性は,「何も」のCIと「意味論レベルとCIレベルで態度は一貫していなければならない」という一般的な語用論的制約との相互作用により説明することができることを論証する。これまでのNPIの研究では,統語論的・意味論的メカニズムにより認可されるNPIに焦点が当てられてきた。本研究では,自然言語には,否定的な反応・態度的な語用論的機能により否定環境で現れる新たなタイプのNPIが存在することを示す。</p>

収録刊行物

  • 言語研究

    言語研究 160 (0), 43-68, 2021

    日本言語学会

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