高齢者後天性血友病Aに対する免疫抑制療法の効果と血流感染症の併発についての単施設での検討

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タイトル別名
  • Examination of the effect of immunosuppressive therapy on acquired hemophilia A in elderly patients with bloodstream infections
  • コウレイシャ コウテンセイ ケツユウビョウ A ニ タイスル メンエキ ヨクセイ リョウホウ ノ コウカ ト チ リュウカンゾメショウ ノ ヘイハツ ニ ツイテ ノ タンシセツ デ ノ ケントウ

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抄録

<p>目的:後天性血友病A(AHA)とは,後天性に血液凝固第VIII因子(FVIII)に対する自己抗体(インヒビター)が生じ,FVIII活性が著しく低下し,出血傾向を来たす自己免疫性後天性凝固因子欠乏症である.発症年齢のピークは70歳代であり,高齢化社会を迎えている本邦でも最近,報告数が増加しており,高齢者に発症しうる出血性疾患として留意しておくべきである.今回我々は,当院で経験したAHA5例について検討を行った.方法:2014年4月から2020年3月の間に入院加療を行ったAHA患者5症例を対象とした.診療録を用いてretrospectiveにFVIIIインヒビター値・APTT・基礎疾患・治療歴・転帰について検討した.結果:発症年齢76~93歳.診断時のHb(mg/dL)は6.1~10.3,APTT(秒)は75.6~203.2,FVIIIインヒビター値(BU/mL)は18~686,血小板数は全例正常範囲内であった.4例でバイパス止血製剤を使用し出血コントロールが可能であった.全例で免疫抑制療法を施行した.インヒビターの消失率は80%(4/5例)であった.転帰は,自宅退院2例・死亡3例であり,死因は全例感染症(敗血症/菌血症)であった.死亡例のprednisolone(PSL)換算総投与量は1,240~3,206 mgで1例はcyclophosphamide(CPA),1例はdexamethasone(Dex)を併用していた.結論:日本のコホート調査研究では,死亡率は約25%と報告されているが,当院では60%であった.死亡患者全例に血流感染症の併発を認めた.AHA加療に免疫抑制療法は必須であるが,高齢患者に長期間免疫抑制療法を行うのは感染症リスクがより高くなる事が予想される.AHA治療関連血流感染症のリスク評価は十分とは言えず,データの蓄積を行い,適切な評価と対応法を検討することが必要である.</p>

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