この論文をさがす
抄録
本研究では,「JCK 作文コーパス」を用いて,4 つの条件節「と」,「たら」,「なら」,「ば」の頻度,使用環境と前接共起語の傾向性を明らかにする上で,日本語母語話者と比較しながら,書き言葉における中国人日本語学習者,韓国人日本語学習者の条件節の使用実態の解明を目指す。その結果,(1)中国人学習者は条件節の全体の使用が多いこと;学習者の「たら」節の使用は母語話者より多いこと;特に韓国人学習者が「たら」節を多用すること;それに対して韓国人学習者の「ば」節の使用が少ないこと,(2)母語話者は使用環境による条件節の選好性が見られるが,学習者には同じ傾向性が見られないこと,(3)学習者の「ば」と「なら」に特徴づけられる前接共起語には母語話者と異なる傾向性が見られるが,これは母語の影響が考えられることが明らかになった。これらの結果は,日本語学習者に条件節指導を行う際,学習者の母語を配慮する必要があると示唆しており,また,より自然な使用のため各条件節を特徴づける使用環境も考慮しながら指導を行うことが重要であると示していると言える。
収録刊行物
-
- 統計数理研究所共同研究リポート
-
統計数理研究所共同研究リポート 444 175-190, 2021-03-15
統計数理研究所
- Tweet
詳細情報 詳細情報について
-
- CRID
- 1390573242613652224
-
- NII論文ID
- 120006975772
-
- NII書誌ID
- BN02360534
-
- HANDLE
- 20.500.14094/81012581
-
- 本文言語コード
- ja
-
- データソース種別
-
- JaLC
- IRDB
- CiNii Articles
-
- 抄録ライセンスフラグ
- 使用可