小説ジャンルの境界線

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タイトル別名
  • Blurring Contours of a Novel
  • Reading Brave New World
  • 『すばらしい新世界』を読む

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説明

散文とはその名の通り本来とりとめのないものであり、その散文によってしか構成されえない小説も当然、ジャンルとしての定義が曖昧にならざるを得ない。本稿ではこうした小説ジャンルの領域としての曖昧さを前提としたうえで、ひとつの作品――その小説性に対して多くの批評家から疑義を呈されたAldous HuxleyのBrave New World(1932)――を考察の対象とする。そして、伝統的価値基準に照らして(優れた)小説とは認めがたい、とされた本作の問題点(または問題点として指摘されたもの)を跡付けることで、小説ジャンルのおぼろげな境界線に、裏側から光を当てることを目指す。あわせて、人間描写の不足・欠落を批判されてきた本作が、実のところ、〈個人の感情の揺れを描くことによってのみ当該個人を描くことができる〉という我々の、または小説ジャンルそのものの認識の限界を超えたところに、個人/人間の可能性を描き出そうとするものであることを理解したい。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390573242620845440
  • DOI
    10.11480/kyoyobukiyo.2022.52_39
  • ISSN
    2433359X
    03863492
  • 本文言語コード
    ja
  • 資料種別
    journal article
  • データソース種別
    • JaLC
    • KAKEN
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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