沖縄県の幼稚園における「宮良長包音楽」の実践状況と方向性(2)-保育実践への可能性を探る-

書誌事項

タイトル別名
  • オキナワケン ノ ヨウチエン ニ オケル ミヤラ チョウホウ オンガク ノ ジッセン ジョウキョウ ト ホウコウセイ 2 ホイク ジッセン エ ノ カノウセイ オ サグル
  • The Direction and Circumstances in which Choho Miyara's Music is Practiced in Kindergartens in Okinawa Prefecture (2)-Exploring Possibilities for Putting Miyara's Music into Practice in Kindergarten Education-

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抄録

筆者は、先行研究である「沖縄県の幼稚園における宮良長包音楽の実践状況と方向性(1)-幼稚園教諭へのアンケート調査に基づいて-」において、データに基づく結果を踏まえ、沖縄県の幼稚園における「宮良長包音楽」の実践状況と課題および方向性について論述した。その結果、「宮良長包音楽」の実践率は28.8%と幼稚園現場においては、ほとんど実践されていないことがわかった。しかし、アンケートの回答から得た現場の実態は、決して「宮良長包音楽」を否定的に捉えているのではなく、むしろ肯定的に捉えていることが明らかになった。本論文では、前述論文の後続研究として、1.アンケート調査のデータから見える実態を「実践プロセス概念図」で概念的に示し、構造的に課題を浮き彫りにする 2.幼稚園現場の実践事例を取り上げる 3.活用し得る教材・資料の開発を試みる、という3つの視点から、「宮良長包音楽」を幼稚園現場で実践ならしめる可能性を探ることを眼目とする。研究結果として、多くの幼稚園教諭が、「宮良長包音楽」に親しみを持ち、身近に感じていることがわかったが、実践に至る局面においては、取り組みにくい深刻な実態が顕著であった。また、50代教諭が、「宮良長包音楽」の実践を“中核層”として支えていることが明らかになったが、幼稚園教諭の次世代にどのように継承していくか、大きな課題である。幼稚園現場の実践事例として、沖縄市立北美幼稚園と西原町立西原東幼稚園をモデルとして取り上げたが、両幼稚園で実践している「安里ユンタ」が、地域交流や祖父母と幼児の世代間をつなぐ重要な役割を果たしていることがわかった。さらに、実践困難な理由が「教材・資料が少ない」という多くのアンケート回答に着目し、教材・資料開発の試作として、「すみれ」、「牛」を編曲し、その指導方法を提示した。

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