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- 青木 洋介
- 佐賀大学医学部附属病院感染制御部
書誌事項
- タイトル別名
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- Operating Airborne Precautions in Clinical Context: From the View Point of Behavioral Science
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抄録
<p>空気予防策は感染経路別予防策の一つとして基本的かつ重要な感染対策であり,この感染防止策を遵守するためには,その臨床的脈絡を踏まえた十分な知識と理解を要する.しかし,知っていることと,実践できることは必ずしも同じではない.知識と実践は直結している訳ではなく,この間には知識特性と呼ばれる幾つかの段階があり,言明的,手技的,構図的,戦術(実践)的な知識により構成される.知識の最終ゴールとしての実践的知識を習得するには,感染対策の原理原則は戦術的知識に変換される必要があり,可能な限り臨床的脈絡の中でその教育と修練がなされることが望ましい.</p><p>これに加え,感染対策は医療スタッフ間の相互理解のもとで実践されることを考えると,コミュニケーションを含む人間の行動科学を考慮に入れることが望まれる.</p><p>実際の臨床においては,認知バイアスと呼ばれる,状況判断の様々なピットフォールが存在し,ベテランといえども状況の適正な判断や行動の意思決定を誤ることがある.Search satisficing,Anchoring,Diagnosis momentumに代表されるこれらの認知バイアスを知り,それを避けるように心掛けることが,最良標準の感染対策の実践を可能にする.</p><p>知識構成の概念,および人間の行動科学的特性を知ることが専門家自身の学習および指導の双方において重要である.</p>
収録刊行物
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- 日本環境感染学会誌
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日本環境感染学会誌 36 (5), 235-241, 2021-09-25
一般社団法人 日本環境感染学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390573242713732352
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- ISSN
- 18832407
- 1882532X
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- Crossref
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可