The Centralised Core Executive vs Policy Communities : Challenges and Problems of the Blair Government's Approach

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抄録

type:Article

英国の伝統的国家構造の基本は議会主権であり、その主権を担う議会の信任する政府が政策運営を主導するものと理解されてきた。なかでも、首相や内閣、大臣には多くの関心が寄せられ、官僚制を含め、いずれのアクターが政策を主導しているのかが、ときにはゼロ・サム的関係を前提に、議論されてきた。他方、英国では特に1970年代半ば以降、このような静的な政策決定メカニズムの理解には疑問も投げかけられるようになった。政策コミュニティー論あるいは政策ネットワーク論として知られる一連の研究の登場である。政策は実際にはマクロの政策決定メカニズムによってではなく、政策領域や争点ごとに多様なアクターの相互関係のなかで決せられているのではないか、というのがその主張であった。しかし、政策コミュニティーあるいは政策ネットワークを強調する議論は、理論的にも現実政治的にも、政府全体の統合や調整への問いを惹起する。理論的には、執政府中枢(core executive)という概念が形成され、こうした研究課題への取り組みが本格化してきた。執政府中枢という概念を提示した研究者のひとりが政策ネットワーク論に取り組んできたロッド・ローズであったことは偶然ではない。さらに現実政治では、断片化した政府を問題と捉え、これを強力に統合しようとしたのがブレア労働党政権であった。ブレア政権は、首相府、内閣府、財務省を司令塔とし、他の省庁をある種の執行機関と位置づけ、執政府中枢による介入とコントロールを強化した。だが、それは重大な弊害を伴う改革でもあった。

identifier:http://repository.seikei.ac.jp/dspace/handle/10928/553

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