低価格Lidarを用いた簡易3Dスキャナーによる マングローブ測量システムの開発と精度検証

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  • Development and validation of a mangrove measurement system by the simplified 3D scanner system using a low-cost Lidar

抄録

<p>1. はじめに</p><p>近年、3Dスキャナーによる非接触型の形状測量が多様な分野で行われるようになってきた。この技術をマングローブ森林測量に応用することができれば、複雑な根形状の分析や毎木調査の簡便化などが可能となる。しかしながら、測量用の商用3Dスキャナーは非常に高額であり、マングローブが密生する潮間帯などの測量環境下においては、このような高額商品を手軽に持ち込むことが難しい場合も多い。そこで本研究では、低価格で構築することが可能な廉価版3Dスキャナーの開発を進めるとともに、取得したデータから森林測量が可能なソフトを開発し、その測量精度と現地適用性について検証を行った。</p><p>2. 簡易3Dスキャナーシステムの開発</p><p> 柳澤(2021)では、情報機器に対する高度な知識を必要としないことを前提とした簡便かつ低価格な3Dスキャナーシステムを構築した。このシステムでは、低価格Lidarセンサーとして、RPLidar A3M1(SLAMTEC)を利用した。しかしながら、RPLidar A3M1は低価格である一方で、日光下や黒色の物体に対して十分な測量ができない場合もある。そこで本研究ではシステムを拡張し、より高性能なUTM-30LX-EW(北陽電気)での利用も可能とした。</p><p>3. マングローブ測量データの分析方法</p><p>著者らはLidarからのデータを記録し3Dデータを構築ためのWindows用ソフトとして、TG3DMakerを開発してきた。本研究ではTG3DMakerを用い、センサーから取得したデータを3D点群データに変換した。その後、取得した点群データから任意の高さのデータを切り出し、クラスター分析を行ったのち、各樹径を円近似により評価した。</p><p>4. マングローブ測量精度と現地適用性</p><p> 精度検証として、石垣島宮良川のマングローブで3D計測を行った。RPLidar A3M1における測量では、メジャーに対する比較において、二乗平均平方根誤差で1.57cm、平均値に対する誤差率は11%程度となった。一般的に3Dスキャナーによる森林測量では樹径誤差±2cm以内に押さえることを目標としていることから、本システムでも十分な精度で評価できることがわかった。3D計測は準備等を含めても数十分程度で50m×15m程度の範囲の測量を完了でき、毎木調査の効率化が可能である。ただし、RPLidar A3M1等の低価格LiDARセンサーは、黒色に近い樹木などに対して、部分的にデータが抜けてしまう場合もあった。一方、UTM-30LX-EWでは、RPLidar A3M1に対して倍程度の測量範囲を測量ができ、黒色に近い物体に対しても点群の抜けが少ない結果となった。以上より、測量目的と予算に応じて、3Dスキャナーシステムを組んでいくことが重要である。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390573242730108032
  • DOI
    10.14866/ajg.2022s.0_54
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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