抄録
<p>キャリアアップとしての転職も注目され始めている中,我が国の管理職に対する女性比率は著しく低い。そこで本研究では管理職への中途採用時における評価に男女差があるか調べるため,場面想定法による質問紙実験を実施した。大学生107名を対象として実験を行い,適性(3)×候補者の性別(2)の被験者間計画であった。課長職の中途採用場面を想定してもらい,候補者の経歴として,適性が高い,あいまい,低いの3種,性差は名前だけで表され,これらは参加者間で異なっていた。参加者は計6種の経歴のうち1つを読み,候補者がどれほど課長職に適任かについて10段階で尋ねられた。結果は適性と候補者の性別において,交互作用が有意(F(2,97)=11.34, p<.001)で,これは候補者の適性があいまいな場合と低い場合に,男性より女性の方が有意に高い評価を受ける傾向を示した。従来の男女差別の研究においては,女性よりも男性が高く評価される傾向にあったが,本研究では逆の結果となった。昨今の女性に対する差別はよくないという,社会的規範の強まりにより,参加者は女性を低く評価することに強い抵抗を感じたのではないだろうか。</p>
収録刊行物
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- 日本心理学会大会発表論文集
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日本心理学会大会発表論文集 85 (0), PC-055-PC-055, 2021
公益社団法人 日本心理学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390573242749696256
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- ISSN
- 24337609
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- Crossref
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可