医療エラーを招く寄与因子とノンテクニカルスキルの関連性

抄録

<p>2000年に発表された「To err is human」を契機に,医療安全に対する意識は世界的な高まりを見せた。しかし,未だに数多くの重大事象が発生している。そこで医療者のノンテクニカルスキルの改善により医療安全の向上を図ることを目標に,本研究は重大事象を含む医療エラーを招く寄与因子を同定し,それらと背景因子のひとつであるノンテクニカルスキルの関連性を明らかにする。総合病院のスタッフに質問紙調査を実施し,有効回答数は727名であった。はじめに,探索的因子分析により,7種類の寄与因子を同定した。次に,多変量重回帰分析により,注意や確認の不足などの認知因子と医療品や患者の問題などの外部因子がヒヤリハットおよびインシデントを招くことを明らかにした。最後に,正準相関分析により,ノンテクニカルスキルと寄与因子の関連性について検討した。その結果,ノンテクニカルスキルが全般的に乏しい自己効力感の低い人は,医療エラーを個人の問題(伝達・技術・認知因子)に帰属させるのに対し,仕事はできるが心身の状態管理が苦手な過労型の人は,医療エラーを環境の問題(組織・社会・外部因子)に帰属させることが明らかになった。</p>

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