心原性脳塞栓症後に「フレゴリの錯覚」を呈した症例に対するリハビリテーション経過と一考察

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  • Rehabiliitation progress and one consideration for the case that presented an Fregoli delusion after the cardiombolic

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抄録

心原性脳塞栓症によりフレゴリの錯覚を呈した1 例を担当した。フレゴリの錯覚についていまだ神経心理学的定説は存在しない状態である。本事例は,既往に脳梗塞(左後頭葉)があったが生活に支障はなく,今回,眼前の人物が,本物の人物とはまったく外見を異する見知らぬ人を自分の親類や旧知の友人であるといった誤認妄想を訴えるようになった。60病日目の時点のHDS─R 23点,左半側空間無視は机上ではみられず,左空間の障害物への衝突が頻繁であった。その他,全般性注意障害がみられた。他患者と自身の身内との誤認,リハビリテーションスタッフに対する発言等,経過を報告し,身体パラフレニアとの関係性についても考察した。結果,フレゴリの錯覚自体は相貌認知障害とそれによる情動想起の関連異常によって生じている可能性があり,右半球病変,とりわけ右前頭葉が責任部位で妄想性人物誤認の訴えが成立していることが示唆された。また,心理的状況が訴えの増減に影響を及ぼしている点についても詳しく報告する。

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