手書き文字の視覚処理の優位性の検討
抄録
<p>手書き文字に対する視覚処理が,PC等に用いられるフォント文字(PCフォント)に比べて,優れているのかについて検討した。手書き文字処理には,自分の字(自筆)であるという自己関与の影響,または,提示される文字に対する主観的な印象の影響があるのではないかと考えた。そのため,予備調査を通じて,親しみやすさの異なる手書き文字(最も親しみやすい~最も親しみにくい:4段階)を他筆字として収集し,自筆字とPCフォントを加えて,文字に対する印象評定と,文字セット内から異なる文字(例:「氷」字から「水」字)を検出する視覚探索課題を行った(n=26)。印象評定の結果は,親しみやすい字とPCフォントの評定が同程度で,自筆字や親しみにくい字よりも高く評価されていた。視覚探索の結果は,最も親しみやすい字が,PCフォントや最も親しみにくい字に比べて,標的検出までの反応時間が短い傾向が得られた。以上の結果より,手書き文字の処理能力の優位性が示された。これは,文字に対する主観的な印象の影響が一因と考えられるが,その背景に,単に文字の形が良いといった印象以上に手書きである事の特異性が存在する事も考えられた。</p>
収録刊行物
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- 日本心理学会大会発表論文集
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日本心理学会大会発表論文集 85 (0), PH-009-PH-009, 2021
公益社団法人 日本心理学会
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詳細情報
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- CRID
- 1390573242753907840
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- ISSN
- 24337609
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可