臍部に生じ深在性上皮性囊腫との連続性を認めた基底細胞癌の 1 例

  • 瀧川 充希子
    独立行政法人国立病院機構岡山医療センター 皮膚科
  • 眞部 恵子
    独立行政法人国立病院機構岡山医療センター 皮膚科
  • 浅越 健治
    独立行政法人国立病院機構岡山医療センター 皮膚科

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Basal Cell Carcinoma of the Umbilicus Infiltrating into the Underlying Deep-seated Epithelial Cyst
  • サイブ ニ ショウジシンザイセイ ジョウヒセイノウ シュ ト ノ レンゾクセイ オ ミトメタ キテイ サイボウガン ノ 1レイ

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抄録

<p>82 歳,女性。約 1 年前に臍部の腫瘤を自覚した。前医での皮膚生検にて基底細胞癌(basal cell carcinoma:BCC)と診断され,当科を紹介され受診した。臍窩を中心に皮下硬結を伴う紅色から灰黒色の結節を認め,下床との境界は不明瞭であった。画像所見でも深部への浸潤が疑われたため,腫瘍と白線部および白線直下の腹膜組織を含めて切除した。切除標本の組織では白線および腹膜への浸潤は認めなかった。病理組織学的に腫瘍細胞は一部表皮と連続して増殖し,一部は真皮浅層において結節性に増殖していた。真皮深層以深では,上層と同様の腫瘍細胞が臍部線維性組織に沿って囊腫構造を形成し,内部に角質塊を伴っていた。さらに深部から白線近傍にかけては正常角化する異型のない上皮性囊腫が存在し,その壁の一部に連続する腫瘍胞巣も認めた。局在が深くなるにつれて囊腫様構築が明瞭となって上皮性囊腫へ移行していくような全体構築であった。臍部の BCC は非常に稀である。また,臍部は解剖学的構造が特殊で,手術に際しては深部をどの層まで切除するか慎重に判断する必要がある。加えて,BCC の囊腫様構築やその近傍に存在した上皮性囊腫の存在も特徴的であったため,その関連性について文献的考察を加えて検討した。</p>

収録刊行物

  • 西日本皮膚科

    西日本皮膚科 84 (1), 41-45, 2022-02-01

    日本皮膚科学会西部支部

参考文献 (5)*注記

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