抽象絵画における鑑賞能力と主題把握,価値判断の関わり

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • Relationship-in abstract painting-between art appreciation ability, and grasp of theme and value judgments
  • Using viewing (by third-year junior high school students) of Kandinsky’s Small Pleasures as thematic material
  • カンディンスキー作『小さな喜び』の鑑賞(中学 3 年生)を題材として

抄録

生徒が絵の主題をいかに把握するのか,さらにその価値判断をどのように行うのか。とくに 鑑賞能力を基準としてそれとの関わり方,という観点から究明する。能力高位者は鑑賞するに 際して「モチーフ・情景」や「抽象化画面」に着目し,それらから主題を把握したりそれを拠 り所として価値判断をしたりするなど,感性的に活動した。その事実から逆算し,生徒の美的 体験を充実させるための道筋が見えてきた。指導方法として考えられるのは,一連の授業を通 して「モチーフ・情景」や「抽象化画面」に興味・関心をもたせ,それを端緒として彼らの感 性を揺さぶることである。 また文化依存性の高い作品を鑑賞する場合における,指導のガイドラインも得られた。文化 依存的な知識を前提として作品を鑑賞すると,諸能力が絡み合い相乗効果を発揮する。知性の 裏付けを受けて違和感が解消される仕方で,再び感性が活性化する。その働きによって,中身 の濃い物語として受け容れられるなど,高度なレベルで作品の真価が味わわれるのである。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390573242799979904
  • DOI
    10.24455/aaej.41.0_225
  • ISSN
    24242497
    0917771X
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ