抽象絵画における鑑賞能力と主題把握,価値判断の関わり
-
- 立原 慶一
- 宮城教育大学教育学部
書誌事項
- タイトル別名
-
- Relationship-in abstract painting-between art appreciation ability, and grasp of theme and value judgments
- Using viewing (by third-year junior high school students) of Kandinsky’s Small Pleasures as thematic material
- カンディンスキー作『小さな喜び』の鑑賞(中学 3 年生)を題材として
抄録
生徒が絵の主題をいかに把握するのか,さらにその価値判断をどのように行うのか。とくに 鑑賞能力を基準としてそれとの関わり方,という観点から究明する。能力高位者は鑑賞するに 際して「モチーフ・情景」や「抽象化画面」に着目し,それらから主題を把握したりそれを拠 り所として価値判断をしたりするなど,感性的に活動した。その事実から逆算し,生徒の美的 体験を充実させるための道筋が見えてきた。指導方法として考えられるのは,一連の授業を通 して「モチーフ・情景」や「抽象化画面」に興味・関心をもたせ,それを端緒として彼らの感 性を揺さぶることである。 また文化依存性の高い作品を鑑賞する場合における,指導のガイドラインも得られた。文化 依存的な知識を前提として作品を鑑賞すると,諸能力が絡み合い相乗効果を発揮する。知性の 裏付けを受けて違和感が解消される仕方で,再び感性が活性化する。その働きによって,中身 の濃い物語として受け容れられるなど,高度なレベルで作品の真価が味わわれるのである。
収録刊行物
-
- 美術教育学:美術科教育学会誌
-
美術教育学:美術科教育学会誌 41 (0), 225-236, 2020
美術科教育学会
- Tweet
詳細情報 詳細情報について
-
- CRID
- 1390573242799979904
-
- ISSN
- 24242497
- 0917771X
-
- 本文言語コード
- ja
-
- データソース種別
-
- JaLC
-
- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可