巨大水疱を呈した好酸球性膿疱性毛包炎

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タイトル別名
  • Eosinophilic Pustular Folliculitis Manifesting as Giant Blisters

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抄録

<p>患者:21 歳,男性</p><p>主訴:全身の痂皮と水疱</p><p>既往歴:水痘,アトピー性皮膚炎,伝染性膿痂疹</p><p>現病歴:生来健康。当科初診の 1 週間前より左下腿の既存の褐色斑に瘙痒が生じ搔破により一部びらんを呈した。前医でのステロイド内服および外用療法で軽快なく,初診 3 日前には口唇の腫脹,頭皮から顔面にかけて水疱形成および黄色滲出液の漏出・固着がみられた。間もなく同様の所見が上半身に拡大し,伝染性膿痂疹または水痘が疑われ前医でセフジニル 100 mg 3 錠/分 3,バラシクロビル塩酸塩 500 mg 6 錠/分 3 の内服が開始された。投薬開始後も改善なく全身に拡大し,発熱・嘔気が併発したため当院救急外来を受診の後,当科入院とした。</p><p>現症:顔面や体幹に約 1 cm の黄色痂皮が付着し,口唇が腫脹していた(図 1 )。両側手指には最大径 3 cm までの緊満性水疱が多発していた(図 2 )。</p><p>皮膚ぬぐい細菌培養:〈手掌の水疱内容物〉陰性</p><p>血液検査所見(異常値に下線):WBC 11900/μlNeut 78.0%,Lym 8.0%,Eos 14.8%,Baso 0.3%,CRP 1.32 mg/dl,CMV IgG<2.0,CMV IgM 0.11,EBV 抗 EAIgG 0.0,HIV Ag/Ab 0.13,ASO 92 IU/ml,ASK 2560 倍</p><p>病理組織診断:毛包に連続した表皮内水疱があり,好中球と好酸球を内包した(図 3 a)。毛包周囲および毛包内に好酸球の浸潤が目立ち,周囲の表皮および真皮には好中球主体の炎症細胞浸潤がある(図 3 b)。蛍光抗体法は陰性。</p><p>診断:巨大水疱を呈した好酸球性膿疱性毛包炎(Eosinophilic pustular folliculitis : EPF)</p><p>治療および経過:バラシクロビル開始後の軽快はなく,抗体価の陰性をもって水痘は否定した。膿痂疹の可能性において抗生剤の点滴および外用に対する反応は乏しく,病理結果と併せて上記と診断し,インドメタシンの内服を開始した。開始後,経時的に上昇していた好酸球は減少傾向に転じ,翌日より水疱の新生がなくなった。</p>

収録刊行物

  • 西日本皮膚科

    西日本皮膚科 84 (1), 1-2, 2022-02-01

    日本皮膚科学会西部支部

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