セデック語の方言比較から浮き彫りになる化石接中辞

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  • Fossilized infixes in Seediq : Identification through dialect comparison
  • セデックゴ ノ ホウゲン ヒカク カラ ウキボリ ニ ナル カセキセツチュウ ジ

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抄録

セデック語(オーストロネシア祖語アタヤル語群)の二つの方言、パラン方言とトゥルク方言の同源語を比較し、どちらか一方に化石接中辞が付加されている形式を調べた。化石接中辞には、語根の語頭子音直後に挿入されるものと、最終音節の母音の直後に挿入されるものがあり、それぞれを化石前方接中辞、化石後方接中辞と呼ぶ。化石前方接中辞はオーストロネシア諸語に広くみられ、歴史的重複語に挿入されることが多いという特徴があるが、その機能はよくわからない。ただアタヤル語群の場合は歴史的重複語以外に化石前方接中辞が挿入される例が多い。一方、化石後方接中辞はオーストロネシア諸語の中でもアタヤル語群(アタヤル語とセデック語)にのみ見られる。こちらの機能もよくわからないが、化石後方接中辞は化石前方接中辞よりも大きな音韻的変化をもたらし、語根の原形をほとんどとどめないため、隠語を造る働きがあったのではないかと考えられる。本稿はアタヤル語群祖語における化石前方接中辞を*<əl>、*<ən>、*<əR>と再建した。また、アタヤル語群祖語における化石後方接中辞は*<ra>と再建される。

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