超音波気管支鏡ガイド下針生検が誘発したと疑われるACE阻害薬による血管性浮腫の1例

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  • Angiotensin-converting Enzyme Inhibitor-mediated Angioedema Suspected of being Induced by Endobronchial Ultrasound-guided Transbronchial Needle Aspiration

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抄録

<p>背景.血管性浮腫は,舌や口唇の浮腫から咽頭や喉頭の浮腫へ進行し,生命を脅かす気道狭窄に至ることがあり,発症に適切に対処することが重要である.症例.75歳男性,現喫煙者.前立腺癌にて抗癌剤療法中,右側下部気管傍リンパ節腫脹の精査のため超音波気管支鏡ガイド下針生検(EBUS-TBNA)を施行した.施行後24時間は支障なかったが,48時間後血管性浮腫が発症した.アンギオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)エナラプリルマレイン酸塩及びさらにACE阻害薬の血管性浮腫を増強させる可能性のあるDPP-4阻害薬リナグリプチン内服中のため,服薬を中止し,コハク酸ヒドロコルチゾン300 mgを点滴したものの浮腫は悪化し,緊急気管切開術を行い,その後浮腫による気道狭窄は改善した.結論.EBUS-TBNAが誘発したと疑われるACE阻害薬による血管性浮腫を発症した前立腺癌の1例を経験した.ACE阻害薬による血管性浮腫は,まれではあるが,喫煙及びDPP-4阻害薬内服中などの危険因子がある場合,EBUS-TBNAなど侵襲処置は血管性浮腫の発生の誘因となる可能性がある.</p>

収録刊行物

  • 気管支学

    気管支学 44 (2), 141-146, 2022-03-25

    特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会

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