著明な高トリグリセリド血症により重症急性膵炎を発症したが,母児ともに救命し得た双胎妊婦の一例

書誌事項

タイトル別名
  • Severe acute pancreatitis induced by marked hypertriglyceridemia during a twin pregnancy

この論文をさがす

抄録

<p>症例は27歳女性.妊娠20週0日に心窩部痛が出現し,前医で膵酵素上昇と高トリグリセリド血症を指摘され,当院に紹介された.CTで重症急性膵炎と診断し,入院治療を開始した.胸水貯留による呼吸不全や播種性血管内凝固を続発したが,厳格な脂質制限と輸液管理により改善が得られ,第18病日に退院した.退院後のMRIで急性壊死性貯留を認めたが,感染なく経過し,妊娠36週6日に帝王切開により分娩した.分娩後,血清トリグリセリド値は著明に改善したが,リポ蛋白分画異常は持続し,遺伝的素因と妊娠の両者が原因で高トリグリセリド血症をきたし,急性膵炎を発症したものと思われた.</p><p>妊娠は脂質代謝に影響を及ぼし,急性膵炎の発症要因となり得る.本症例は妊娠中期に発症し,臓器障害や急性壊死性貯留を合併した重症例であったが,産婦人科医との連携治療により母児ともに良好な転帰を得た.</p>

収録刊行物

  • 膵臓

    膵臓 37 (2), 67-73, 2022-04-28

    一般社団法人 日本膵臓学会

参考文献 (14)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ